腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
Print ISSN : 1343-0882
ISSN-L : 1343-0882
報  文
マイクロコロニー法を用いた固形生菌製剤中生菌数の迅速測定法
前田 彩子尾﨑 徹嶋川 真木大野 裕史山村 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 28 巻 4 号 p. 165-172

詳細
抄録

微生物の生菌数を測定する平板培養法は,結果を得るまでに1日~数日間を要する.一方,マイクロコロニー法は,平板培養法を発展させた方法であり,コロニー形成の初期段階である微小なコロニーを,蛍光色素を用いて染色し,蛍光顕微鏡により測定することで,より短時間の培養で生菌数を測定することが可能である.マイクロコロニー法は,濾過により細菌を捕集するため,主に液体試料中の生菌数測定法に利用されており,固形試料などの不溶物が多く含まれている試料にはほとんど利用されていない.医薬品や医薬部外品として製品化されている固形生菌製剤の生菌数は,定められた規格法に従い,平板培養法を用いて測定されているが,さらに迅速,高精度かつ簡便な方法が期待されている.本報では,固形生菌製剤の生菌数の定量法としてマイクロコロニー法について検討し,以下の結果が得られた.1.製剤中における不溶性添加剤の非特異的な蛍光染色を防ぐために蛍光色素の選定を行い,SYTO®9が最適であった.2.150×g,5分の遠心処理で不溶性の添加剤を除去することにより,マイクロコロニーの形状の崩れが抑制された.3.マイクロコロニーの測定視野数を5倍の対物レンズを用いて10視野以上とすることにより,安定した測定結果が得られた.本測定条件によってビフィズス菌製剤の生菌数測定を実施したところ平板培養法と同等の測定結果が得られ,なおかつ,平板培養法よりも短時間でバラつきの小さい結果が認められた.さらに市販生菌製剤においても同様に生菌数を測定することが可能であることが確認された.以上のことから,固形生菌製剤中の生菌数測定法として,マイクロコロニー法が平板培養法の代替可能な試験法として使用できることが明らかとなった.

著者関連情報
© 2014 (公財)日本ビフィズス菌センター
前の記事
feedback
Top