腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
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総 説 <特集:腸内細菌の分類の現状―嫌気性菌および乳酸菌を中心に―>
ヒトの腸内菌の分類に関する総論
平山 和宏
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2016 年 30 巻 1 号 p. 5-15

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抄録
我々の腸内には1000種にも及ぶといわれる非常に多様な細菌群が常在している.しかし,この腸内細菌叢を構成する菌の分類学的な位置を見てみると,その分布には大きな偏りがあることがわかる.現在,細菌(原核生物)は,ドメインArchaeaが5つの門(phylum),ドメインBacteriaが30の門に分かれているが,このうちヒトの腸内から検出されるのは,ドメインArchaeaのうちの1門とドメインBacteriaのうちの11門だけであり,なかでもドメインBacteriaFirmicutesBacteroidetesActinobacteriaProteobacteriaの4門だけで菌叢のほとんどを占める.腸内細菌叢は長い年月をかけて宿主であるヒトに適応し,その機能によって高度に選抜されながらヒトとともに進化してきたと考えられる.これらヒトの腸内から検出される門にどのような菌が属するのかを概説する.
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© 2016 (公財)日本ビフィズス菌センター
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