腸内細菌学雑誌
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慢性腎臓病とmicrobiota
阿部 高明
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2018 年 32 巻 1 号 p. 15-23

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抄録
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)は糖尿病,高血圧,慢性糸球体腎炎などを原疾患として慢性の経過で腎機能が徐々に低下していく進行性の病態である.CKDの治療の原則は高血圧と糖尿病の治療のための食餌療法(カロリー制限と減塩)およびレニンアンジオテンシン系抑制薬の使用が重要であるが,近年腸内細菌叢の関与が明らかになってきた.なかでもインドキシル硫酸,p-クレシル硫酸,トリメチルアミンN-oxide(TMAO)は100%腸内細菌によって作られ,かつそれらはCKD患者の腎予後,生命予後に密接に関連することが知られてきた.したがって,便秘改善を含め腸内細菌叢を介してこれらを減少させることがCKDの新しい治療介入法として期待されている.
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© 2018 (公財)日本ビフィズス菌センター
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