生活習慣病,高齢化社会,そして近年勃発した新型コロナウイルス感染症の大流行は,我々の想像をはるかに超えた深刻かつ喫緊の社会問題となっている.この問題を解消・軽減するための戦略的な取り組みにおいて,我々の健康の維持・増進に役立つとされる機能性食品の「救命食」としての役割は極めて重要である.本稿では,ヒトで効果が認められる機能性食品の効率的な開発・上市に資するべく,詳察すると機構と環境が異なる小腸と大腸における食品成分の様々な動態,加えて実験動物とヒトの腸内環境の違いについて概説し,これらを踏まえて筆者らが開発した「ヒト腸管モデル」の概要とその利用例を紹介する.さらに,これらモデルが食品成分の機能性評価の確固たるツールとして社会実装されるために,改善すべき幾つかの課題についても言及する.