抄録
ヒトが14日間, L-ソルボースを連続経口摂取した際の腸内菌叢と糞便のpHの変動を調べた.また, 糞便培養により腸内菌によるL-ソルボースからの短鎖脂肪酸 (SCFA) 生成を調べた.その結果,(1) 腸内菌の各菌群の菌数に一定の変動は認められず, 全菌数にも有意な変動は認められなかった.(2) 糞便のpHにも変動は認められなかった.(3) 糞便培養によりL-ソルボースからSCFAとして生成した量は8%であり, ショ糖の46%に比べ有意に少なかった.(4) 培養終了後, ショ糖添加系ではショ糖は検出されず, L-ソルボース添加系での残存糖率は連続経口摂取前で76%, 摂取後で58%であった.以上の結果よりL-ソルボースを経口摂取しても菌群レベルでみた限り, 腸内菌叢は大きく変動しないこと, およびレソルボースは腸内菌によって発酵されにくいことが判明した.