抄録
転移オリゴ糖 (TOS) のラットおよびマウスにおける腸内フローラと盲腸内短鎖脂肪酸生成に及ぼす影響を精製飼料を用いて検討した. ラットでは3%または5%のTOS投与により, Bifidobacteriumおよび酢酸の顕著な増加, プロピオン酸の中等度の増加が認められたが, 酪酸はむしろ減少した.一方, マウスでは3%TOSの投与で, BifidobacteriumとLactobacillusの軽度の増加が認められ, 酢酸と酪酸の顕著な増加とプロピオン酸の軽度の増加が認められた. 3%TOS含有飼料を使用して自由採食の約70%に摂取制限したとき, プロピオン酸と酪酸の減少は顕著であったが, 酢酸の減少は摂取制限と同程度であった. 15%セルロース飼料に3%TOSの添加によって15%セルロース飼料投与でみられた, BifidiobacteriumとLactobacillusの減少は相殺された. 自然素材の複合飼料を基礎飼料とした場合にはTOSのBifidobacterium増殖促進はみられなかった. 比較に用いたフラクトオリゴ糖の投与ではTOSと異なる反応がフローラおよび短鎖脂肪酸生成に認められた.