ビフィズス
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アラビノガラクタンのラットおよびヒト腸内細菌による代謝
今村 理佐村井 健二趙 春菊竹部 幸子小橋 恭
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1992 年 6 巻 1 号 p. 19-29

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抄録

カラマツなどの針葉樹に多く含まれる, 難消化性多糖のアラビノガラクタンが, ラットおよびヒトの腸内細菌により資化されるか否かを検討した.13%アラビノガラクタン添加粉末飼料を与えたラット糞便は, pHが低下し, 水分含量も増加した.低級脂肪酸量に関しては, コントロール群と比較して有意な差は認められなかった.また, ラット糞便をアラビノガラクタン添加培地で培養した場合, 全糖量の減少, 低級脂肪酸の蓄積, 乳酸の蓄積があることより, 糞便中の細菌はアラビノガラクタンを資化していることが明らかになった.さらに, ヒトおよびラット腸内細菌のアラビノガラクタンの資化性を検討した.そのなかでBifidobacterium longumは, アラビノガラクタン添加により, 24時間後で生菌数が70倍に増加し, 培地のpHが著しく低下した.また, 酢酸などの低級脂肪酸の蓄積, 全糖量の減少も認められた.このことは, B.longumがアラビノガラクタンを資化していることを示している.他の菌株では, Clostridium sordelliiがアラビノガラクタンを炭素源として増殖することを認めた.

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© 財団法人 日本ビフィズス菌センター
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