腸内細菌学雑誌
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緑色野菜・果物混合飲料摂取が健常成人の便性および糞便菌叢に及ぼす影響
水道 裕久藤田 晃人田中 敏郎福原 宏一清水 俊彰池田 あこ竹内 明光岡 知足
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2000 年 13 巻 2 号 p. 67-74

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抄録
健康成人男性7名 (平均年齢41歳) を対象に, 種々の緑色野菜と果汁を配合した緑色野菜・果物混合飲料の便性および糞便菌叢に及ぼす影響について検討した.インフォームドコンセント受領後, 各被験者に供試飲料 (160g) を1日2本, 3週間摂取させ, 摂取前後における便性調査および糞便菌叢, 糞便中のアンモニア・胆汁酸の解析を実施した.試験期間中, 他の野菜ジュース, 発酵飲料, オリゴ糖など便性および糞便菌叢に影響を与える可能性がある食品, 薬剤の摂取を控えさせた以外は特に食事制限は行わなかった.その結果, 供試飲料の摂取により, 1日あたりの排便量の増加, 便の色調の黒茶系から黄色系への移行, 便の臭気の低減, および排便後の感覚の改善が統計学的に有意に認められた.また, 試験期間中, 糞便中の総菌数およびBacteroides, Bifidobacterium, Eubacteriumなど主要嫌気性菌の菌数には有意な変動は認められなかったが, 供試飲料の摂取3週目においてレシチナーゼ陽性Clostridiumの検出率の有意な低下が認められた.さらに, 糞便中のアンモニア量が減少する傾向が認められた.このように, 供試飲料の摂取は排便量の増加や色, 臭いといった便性状の改善に有用であるとともに, 腸内菌叢に好影響を及ぼすことが示唆された.
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© 財団法人 日本ビフィズス菌センター
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