2022 年 3 巻 J2 号 p. 1075-1081
現在日本は超高齢社会へと突入しており,それに伴い医療・介護費の増加,病床不足,老々介護や介護難民など様々な問題が生じている.これに対し医療・介護制度の見直しだけではなく,高齢者が要介護状態となっても地域で暮らし続けることができる地域づくりが喫緊の課題となっている.本研究では,現在十分に利活用されていない医療ビックデータである国民健康保険データベースのデータを活用し,町字という詳細な地域単位で要支援認定者が暮らす地域環境を把握し効率的な地域包括ケアシステム構築に寄与する.75歳以上の要支援認定者を対象に地域別認定者数を算出し,定量的に評価した地域特性との関係を調べた.その結果,認定者数は地域によって大きく差があり,要支援認定者が多く地域特性の一つである生活利便性が悪い地域が明らかとなった.