1998 年 49 巻 1 号 p. 24-30
本論文は, 定期補充方式による多段階在庫システムでの情報の活用の効果と限界に付いて考察するものである.すなわち, 補充量の決定に際し, 発生した需要の情報を遅れなく把握してそれを全段階で利用して補充量を決める場合(並列型と呼ぼう)を考え, これを従来の方法(直列型と呼ぼう)と比較した.そして, 需要分布が定常的な場合は, 並列型と直列型とで平均在庫量は同じであること, また, 需要分布が時間とともに変動する場合は, 並列型は直列型に比べ変化への追随性の点で有効であることを見いだし, その理由を理論的に考察した.さらに, 総量変化で捉えた需要分布の変動の情報を基準在庫量に反映させる適応システムを提唱し, その有効性を確かめた.最後に, 在庫の階層を1つ減らした場合の在庫量の減少率を示し, 構造の簡素化の重要性を指摘した.