2001 年 52 巻 2 号 p. 101-116
本研究では, テレビコマーシャル(CM)に対する認知プロセスの分析方法を提案する.本分析方法では, CMシーンの意味的な構造と, 眼球運動データの対応をとることにより, 認知プロセスの状態を表現する指標, 意味的偏差率と意味的推移距離を算出し, 視聴者の認知プロセスを分析してゆく.CM視聴実験により得られたデータに対して本分析方法を適用した結果, 認知プロセスの個人差を, 2つの指標を用いることにより検出することができた.さらに, これらの個人差に影響を与える要因として, シーンに登場する構成要素の数といったCMの設計変数, あるいは商品に対する好意度といった被験者の個人属性があることを, 示唆として得ることができた.