抄録
人事制度において人事評定制度は,その重要性を増しているが人事評定において問題となるのが寛大化傾向などの評定誤差であり,その低減の方法の一つとして評定者訓練がある.本研究では,のべ116人の社会人が参加した評定者訓練の際に,(1)構造測定方程式モデルにより推定された評定誤差の定量的な分析結果,(2)評定者に評定誤差がみられるかどうかの判定,の2つについてフィードバックを行い,評定者訓練による評定誤差の改善効果と,評定者の評定誤差の改善効果についての実験的検証を行った.その結果,評定誤差がみられると判定された評定者については,評定者訓練による評定誤差の改善がみられ,また評定者の評定誤差も有意に改善することが確認された.