2008 年 59 巻 4 号 p. 330-341
本論文では,過去の実績から何らかのパターンを抽出し,それを未来に外挿する従来型の需要予測手法とは一線を画した,需要予測の新しい手段として,複数の人間が持っている需要に関する分散した知識を,市場メカニズムを用いて集約し,予測に反映させる「衆知集約型需要予測法」を提案する.連続的な需要多測分布を得るための予測証券と,その証券の流動性を確保し,市場の平衡状態を実現するためのマーケットメーカをそれぞれ展開し,それらを,市場メカニズムを用いた将来予測のフレームワークである「予測市場システム」に組み込むことによって「衆知集約型需要予測法」の基本設計を与えるとともに,その機能をエージェントシミュレーションによって確認する.