本研究では,消費者が企業の店舗ロケーションとオンラインチャネルの利便性(インタラクションコストの大きさとして表現)に応じて,オンラインあるいはオフラインのどちらかのチャネルから製品を購入すると考えたときの,複占企業間の販売チャネル戦略についてゲーム理論を用いて分析した.その結果,両企業の製品が十分に差別化されているならば,均衡チャネル戦略は相手企業の店舗ロケーションやインタラクションコストの大きさとは独立に,自企業のそれらの相対関係のみに応じて決定されることが分かった.また,数値実験の結果,ロケーションの優位性の方がインタラクションコストの優位性よりも企業にとって有利に働きやすいことが分かった.