日本経営工学会論文誌
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原著論文(理論・技術)
力学的モデルを用いた施設レイアウト問題の解法
—カオス力学的モデルを用いた相対位置関係の探索—
大森 峻一吉本 一穗
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2013 年 64 巻 2 号 p. 145-156

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抄録

本研究では,施設レイアウト問題(FLP:Facility Layout Problem)に対する新しいヒューリスティクスを提案する.FLPに対してはMIP(Mixed-Integer Programming)を用いて最適解が求まる事が知られているが,従来研究では最大11職場までの問題しか求解できおらず適用規模に限界がある.近年では,MH(Meta-Heuristics)とMIPを組み合わせる事で大規模な問題にも対応可能な近似解法もいくつか提案されているが,ランダムな解生成と取捨選択を繰り返す方法となっているため,探索効率が悪く多大な計算時間を要する.これに対し本研究では,職場間の動線をバネと見なした力学的モデルを構成し,力学的な安定点に向かって移動させる事で「物流量の多い職場同士はなるべく近くに」というFLP特有の良解条件を利用する事で,好適な相対位置関係を高速に抽出する方法を提案する.提案手法では,カオス挙動を発生させる事で職場移動における局所解への停留を抑制し,多様な相対位置関係を抽出できる工夫を加えた.この様にして得られた相対位置関係をもとに,FLPを線形計画問題として定式化しレイアウト案を得る.実験では,15個のFLPベンチマーク問題に対して提案手法を適用し,中でも3つの問題に対しこれまでの最良値を更新する事ができた.

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© 2013 公益社団法人 日本経営工学会
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