日本経営工学会論文誌
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原著論文(理論・技術)
サプライチェーン見える化システムの構築とその有効性の検証
松川 弘明劉 唐
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2016 年 67 巻 2 号 p. 73-82

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抄録

近年サプライチェーンリスクマネジメントに関する研究が注目を浴びている.特に東日本大震災以降,ダイヤモンド型サプライチェーン(SC)の存在が明らかになり,調達先の調達先の所在地や経営状況を含めた情報収集が急ピッチで行われている.これはすなわちSCにおけるモノの流れを見えるようにするためであり,本研究ではこのようなSCの見える化のための効率的な方法を提案し,有効性を検証することを目的とする.具体的にはSCにおける物流情報を収集するSC見える化システム(SCVS)を構築し,3段階からなるSCを対象に,ロールプレーによる実験を行った.その結果,受発注の経験がない被験者でも本研究で開発したSCVSを用いることにより,調達先や調達先の調達先が被災したために発生する損失を最小限に抑えることができ,SCVSを用いないときに比べて利益を増やすことができた.特に,途絶企業と直接つながっていない企業も利益を増やすことができたことは,川上と川下双方向の見える化の必要性を強くサポートするものであり,間接被害を防ぐためには調達先の調達先だけでなく,販売先の情報も把握する必要があることを示唆する.本研究ではさらにSCの途絶リスク対策として,冗長性,頑健性,および柔軟性の3つの強化策と柔軟性とその他の2つの強化策との組み合わせを加えた計5つの強化策についてシミュレーションを行い,本研究で設定したシステム条件のもとでは在庫を増やす冗長性強化策は必ずしも最善策ではないことを確認し,どの強化策がSC途絶リスク対策として有効であるかは企業内部条件とその企業が置かれている環境に依存することを示した.

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© 2016 公益社団法人 日本経営工学会
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