2017 年 68 巻 3 号 p. 212-220
近年,情報システムの保守工程は,開発工程より費用が多く掛かるといわれており,企業の経営課題の一つとなっている.費用が多く掛かる原因の一つに,問い合わせがある.この問い合わせは,発生することを予測することが出来ないため,人や設備の準備が出来ずに対応に多くの時間を要する.問い合わせが発生する要因については,様々な研究がなされているが,問い合わせの対応に掛かった時間からの分析はなされていない.そこで本研究では,問い合わせに対応した時間を二つに層別し,その分布の差を求め評価する分析の枠組みから,考察する.その結果から,サービス提供側である製造業の情報システム部門の視点に立ち,問い合わせの発生を予測するモデルを提案する.そして予測モデルの検証を行い,今回のデータから妥当性と有効性を示した.