2019 年 69 巻 4 号 p. 174-183
サプライチェーン上の2社間においての取引交渉を行う際に, 情報の非対称性により, 合意した取引価格と取引量による2社の合計利益が独占利益を下回ると同時に, 利益配分に大きいな偏りが生じてしまう. 企業間の情報共有による利益低下および利益配分の改善効果が確認されているが, 非系列企業間では機密情報となるコスト情報の共有を実現することが非常に困難である. 本研究では, コスト予測機能と交渉ガイド機能を持つコーディネータによる協調型交渉方式を提案することにより, 疑似的にコスト情報の共有を実現し, サプライチェーンの利益低下および利益配分問題に対する緩和効果を示した.