日本経営工学会論文誌
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原著論文(理論・技術)
離発着時刻調整を考慮した航空機の運航スケジューリングに関する研究
穴原 大輔大森 峻一吉本 一穂
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2019 年 70 巻 3 号 p. 147-156

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抄録

近年, 国内線と国際線の両方の航空便に対する需要が高まっているため, 航空会社においては効率的な輸送サービスを提供するために経営資源である航空機材及び人員の効率的な運用が重要な課題となっている. 多くの従来研究において, 運航計画作成は以下の4つの段階に分解されて扱われている:(1) Flight Scheduling Problem (FSP), (2) Fleet Assignment Problem (FAP), (3) Aircraft Maintenance Routing Problem (AMRP), and (4) Crew Scheduling Problem (CSP). 計算上の取り扱いやすさの理由から, 多くの従来研究ではこれらの問題は独立に扱われているが, ある段階の決定が引き続く段階の制約条件となるため, このアプローチでは部分最適となる可能性がある. この事から近年では統合モデルの開発が大きなテーマとなっている. 本研究では, FSPに含まれる出発時刻調整問題, FAP, AMRPを統合するモデルを提案し, 出発時刻, 機材割当, および機材メンテナンスルーティングの全体最適化を行った. FSPで決定された便の出発時刻に軽微な変更を加え柔軟性を持たせることで, FAPおよびAMRPにおける接続機会を増やすことができ, 機材割当コストを削減する事が可能になる. これらの統合モデルを扱う研究も存在するが本研究の提案モデルは以下2点が異なる. 1つ目は従来研究では便に対する機種のタイプと数の割当のみを行っているのに対し, 本研究では機種毎の各機体の詳細スケジュールを決定している点が異なる. また, 本研究では整備可能な空港が限定されている点が異なる. これにより解空間が膨大になり, 厳密解法の適用が困難となる. 本研究ではAnt Colony Optimizationを適用した近似最適化を行い実用時間内に良解を得る事のできるアルゴリズムを作成した. 数値実験では, 出発時刻の調整幅の感度分析を行う事により, 提案されたモデルの有効性を実証した.

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© 2019 公益社団法人 日本経営工学会
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