日本経営工学会論文誌
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原著論文(理論・技術)
循環型生産システムの構築における運用コストを考慮した意思決定支援モデルの研究
小原 慎平柳 在圭白石 弘幸
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2021 年 72 巻 1 号 p. 55-64

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抄録

近年,環境に配慮した生産活動には社会的な注目が集まっている.特に再生産システムは,資源の節約と廃棄物の抑制の点で導入が求められている.このような背景から,従来の生産活動であるフォワードロジスティクス(FL)に,使用済み製品を再生して再生産に用いるリバースロジスティクス(RL)を追加した循環型生産システムが注目され,研究が発展してきた.しかし,企業は先行投資を含むコストと導入後の収益性に対する不安からその導入をためらっている.このため,循環型生産システムの運用による持続可能な生産活動の維持は困難となっている.この問題へ対処するために,循環型生産システム導入における意思決定の支援モデルが必要となる.しかし,導入における誘引や障壁に関する先行研究はその分類に重点が置かれ,包括的なコスト評価による意思決定については研究の蓄積が乏しい.

本論文では,導入時の意思決定を支援すべく,システム運用コストを総合的に評価するモデルを提案する.さらに現実に即した実用性を与えるべく,再生回数に応じた製品の劣化をモデルに反映する.繰り返し再利用された部品は摩耗などにより再利用に適さなくなる.数値実験を通じて提案モデルの有効性を検証された.コスト構造の差異に応じて再生産の最適量が調整され,それぞれの状況に応じて柔軟にコストが抑制された.また,コストとともに再生可能な使用済み製品の推移も確認され,導入時の意思決定を支援する効果が期待できる.

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© 2021 公益社団法人 日本経営工学会
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