日本経営工学会論文誌
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原著論文(調査研究)
  • 佐藤 恵, 佐野 雅隆, 猿渡 康文
    2021 年 72 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,国際疾病分類の分類作業の作業標準の履行に着目した.その遂行状況と分類結果の適正さが,作業標準で実行する手順によって異なることを明らかにした.国際疾病分類は,WHOが開発した傷病の分類システムである.診療情報管理士は,WHOが公開する分類作業の作業標準を学んだ国際疾病分類の専門職である.本研究は,4つの作業手順に着目し,それぞれ4つの傷病名を選んだ.17名の診療情報管理士が,同一日時に同一会場同一条件でそれらを分類し,作業手順を記録した.得られた作業記録は,実行する手順による分類結果の適正さと作業標準の履行状況の差異を示した.作業標準と作業手順に着眼した,新たな教育プログラム作成が急がれる.

  • 高島 健太郎, 西垣 朋哉, 渡邉 汐音, 竹下 智之
    2021 年 72 巻 1 号 p. 12-23
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    企業にとって,従業員の組織コミットメントを高め人材を定着させることは重要な課題である.一方,従業員の側では,自律的なキャリア開発への意識の高まりから,様々な種類のスキル開発あるいは副業などの第二の仕事を本業と並行して行いたいという気運が高まっており,企業は対応を迫られている.本研究では,このような所属企業の業績への貢献を志向しない従業員個人による自発的なキャリア開発活動を「本業外のキャリア開発活動」と定義し,その意欲と組織コミットメントとの相関を分析した.20代,30代の若手従業員を対象とした2つの質問紙調査を行い,本業外のキャリア開発活動への意欲の背景要因として「自己研鑽」「社外の仕事への従事」「社会貢献」の3つの因子を抽出した.相関分析を行ったところ「社会貢献」因子にのみ組織コミットメントとの弱い相関があること,それ以外の因子には相関がないことが示された.さらに,組織コミットメントは,従業員のこれらの活動への意欲より,むしろ企業がこれらの活動に対して示す肯定的態度と関係があることが示唆された.得られた知見は,今後増えると思われる従業員の本業外のキャリア開発活動に対して,企業が方針策定を行うにあたり有用であると考える.

原著論文(理論・技術)
  • 小原 崇矢, 伊呂原 隆
    2021 年 72 巻 1 号 p. 24-36
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    近年,ドローンの防災利用が注目を集めている.ドローンは自律制御が可能なことや,狭いスペースでも離着陸できることなど,災害時にメリットとなる要素を多く持っている.しかし,災害時のドローン物流に関する研究はまだ多くない.そこで本研究では,災害時にドローンを有効に活用するためのモデルを提案する.ドローンには支援物資輸送と情報収集の2つの役割があり,本研究ではそれらを同時に考慮したモデル化を行っている.作成したモデルに対して実務を想定したアルゴリズムを構築し,様々な状況下でモデルの有効性を検証する.

  • 北村 拓海, 椎名 孝之
    2021 年 72 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    プロジェクトの遂行において,作業の所要時間は作業の工数と作業へ投入される資源数によって決定される.資源の投入数を増加することによって,所要時間は短縮される.さらに資源の投入数の増加に伴い,作業にかかる費用は増加する.このような問題は,時間費用トレードオフ問題 (The Time/Cost Trade-off Problem) と呼ばれる.本研究では,時間と費用の関係が反比例の関係にあると仮定する.作業の所要時間が確率変数によって定義されるような曲線型時間費用トレードオフ問題に対して,確率計画法による定式化と解法および数値実験結果を示した.

  • 牧野 公一, 澤口 学, 大野 髙裕
    2021 年 72 巻 1 号 p. 46-54
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    多くの企業では,価値を(価値 V)=(機能 F)/(コスト C)と表す,Value Engineering(価値工学,以降「VE」とする.)を活用し,製品開発,既存製品や業務の改善,すなわち価値向上を行っている.VEは,製品や部品の持つ機能や業務の機能を名詞と動詞を用いて「(名詞)を(動詞)する」と表現し,このように定義した機能を中心にした発散思考と収束思考の繰り返しにより改善案を効率よく創出する方法である.しかし,VEを使いこなすには熟練が必要で,特に機能を定義することが難しい,また改善案を創出しやすい「機能の定義」とはどのようなものかを教えることも難しいと言われている.本研究ではオントロジー工学で用いられるFunction and Behavior Representative Language(以下「FBRL」とする.)を応用した「機能の定義」方法(以下「FBRL法」とする.)を更に改良した新FBRL法を用いた製品改善設計時の「機能の定義」方法を提案する.今回,製品改善のための企業内VE研修において,「機能の定義」の説明を,FBRL法が開発される以前の「機能の定義」方法(以下「従来法」とする.)と新FBRL法で行い,理解度テストとして名詞が正しく選択できるかどうかの検証を行った結果,新FBRL法は従来法に対し統計的有意差を持って高得点となることを確認し,新FBRL法は機能の定義における名詞選択について理解が進むことが確認され,有効性を実証できた.

  • 小原 慎平, 柳 在圭, 白石 弘幸
    2021 年 72 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    近年,環境に配慮した生産活動には社会的な注目が集まっている.特に再生産システムは,資源の節約と廃棄物の抑制の点で導入が求められている.このような背景から,従来の生産活動であるフォワードロジスティクス(FL)に,使用済み製品を再生して再生産に用いるリバースロジスティクス(RL)を追加した循環型生産システムが注目され,研究が発展してきた.しかし,企業は先行投資を含むコストと導入後の収益性に対する不安からその導入をためらっている.このため,循環型生産システムの運用による持続可能な生産活動の維持は困難となっている.この問題へ対処するために,循環型生産システム導入における意思決定の支援モデルが必要となる.しかし,導入における誘引や障壁に関する先行研究はその分類に重点が置かれ,包括的なコスト評価による意思決定については研究の蓄積が乏しい.

    本論文では,導入時の意思決定を支援すべく,システム運用コストを総合的に評価するモデルを提案する.さらに現実に即した実用性を与えるべく,再生回数に応じた製品の劣化をモデルに反映する.繰り返し再利用された部品は摩耗などにより再利用に適さなくなる.数値実験を通じて提案モデルの有効性を検証された.コスト構造の差異に応じて再生産の最適量が調整され,それぞれの状況に応じて柔軟にコストが抑制された.また,コストとともに再生可能な使用済み製品の推移も確認され,導入時の意思決定を支援する効果が期待できる.

原著論文(事例研究)
  • 松本 卓夫, 久保寺 静, 志田 敬介, 松川 弘明
    2021 年 72 巻 1 号 p. 65-74
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    近年スマート工場に関する研究が注目を浴びている.Industry 4.0に代表される第4次産業革命ではスマート工場が主役となっており,多くの研究論文が発表されている.しかしながら,その多くは自動化,知能化,IoT(Internet of Things), AI (Artificial Intelligence) に関するものであり,運営における同期化や柔軟性を考慮した設計に関する研究は見られない.本研究では,プロセスチーズ工場における乳化工程と充填工程を対象とし,設備償却費用,稼働費用,同期化費用,および柔軟性費用を考慮した設計問題を考える.スマート工場は必要なものを,必要な時に,必要な量だけ,効率よく製造することが必要条件であり,需要の変動など外部環境の変化や内部環境の変化に柔軟に対処できるように設計する必要がある.工場を設計するときに運用,同期化,柔軟性を考慮することが工場のスマート化に貢献できると考え,投資決定変数と運用決定変数を用いてモデル化を行う.乳化工程と充填工程には複数の設備を設置することができるとし,設備能力と台数の組み合わせを最適化することを目的とする.投資と運用を同時に考える場合,目的関数が非線形になる.そして,組み合わせ数が膨大になり組み合わせ爆発を起こすため,問題の特徴を用いて階層化し,効率的に最適解を求めるアルゴリズムを提案した.また,提案モデルは数値実験を通じてその妥当性を評価し,さらに事例研究を通じて既存工場の運営を評価すると同時に,非合理的な投資を合理的にするための分析を行った.

  • 藺 嘉, 田中 瑛理, 佐々木 優, 森江 翔, 有馬 澄佳
    2021 年 72 巻 1 号 p. 75-87
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,数百品種が複数種のリソースを待ち合わせて共用する並列機械生産システムに対して実用実績を持つ分散協調型スケジューリングのコアエンジンP3D法(Pseudo Periodical Priority Dispatching)を,同様に非対称段取り時間をもつ自動車部品の後補充生産に応用するため,機械限定,仕掛り上下限,および段取り禁止シフトを考慮して改良した2種の優先度評価と機械最適割付けを加えて拡張したP3D-QAP法を提案・検証した.検証では,実企業の生産工程と受注データを使用し,従来法と現場ノウハウを加えた実績,後補充向け最早納期順処理(後補充EDD),および,部品使用の平準化に用いられる目標追跡法を部品メーカ向けにアレンジした実績追跡法と,納期基準・工程基準・滞留時間基準の3つの観点で比較した.P3D-QAP法が,工程基準の各種指標を良好な水準に維持しつつ,特に課題であった納期遵守率,納期超過時間,メイクスパンを大幅改善する効果が認められた.工程需給の考慮と拡張の効果と考えられる.

  • 高山 拓也, 伊呂原 隆, 三浦 修, 大木 智博, 北原 翔
    2021 年 72 巻 1 号 p. 88-97
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,家電リサイクル法に基づき家電製品を回収,処理し新たなリサイクル資源として売却する企業の事例研究を行う.対象企業では複数の資源を売却価格が異なる複数の売却先に売却することで売上を得ている.売却に際しては,様々な制約があるため複雑性が生じている.そこで,目的関数には各資源の売却により得られる総売却額をとり,これを最大化するモデルを提案する.その結果,提案モデルでは各資源の売却量と売却先が変化しより良い結果を示した.さらに感度分析では,各売却先の与信制約を変化させ実験を行った.適切な与信額設定を行うことで,目的関数値には影響は与えずリスク管理が行えることが分かった.

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