抄録
ここでは, 対数線型習熟タイプの習熟過程の作業時間分布の推定とその分布のパラメータの習熟による変化について述べる.習熟を「同一の固定可能な企業の内生的資質状態のもとで, 個人の付与された機能を果たすための合目的々行動の反復による.個人的・企業の内生的資質状態によって定まる効果の向上」と定義し, 広義の習熟は考えない.なぜなら, 広義の習熟は構造的変化をともなうからである.提案する時間分布の推定方法は, 作業時間を表わす構造模型に立脚し, 任意の時点での分布を知ることができる.なお, グラフィカルな表現に便利な状態式でこの関係を示した.実際の同一作業20例について, 初回の時間分布の適合度の検定によって, 定常な状態を対象とする場合と同様, アーラン分布が, 問題とする習熟過程の作業時間分布を表わす一つの理論分布の典型であることを知った.そして, その分布についてパラメータの挙動を明らかにした.最後に構造模型のあてはめについてふれた.