抄録
生産・在庫システムにおいて, 物の流れを円滑に行なうために, 在庫という緩衝機能が重要な役割を果たしている.本研究は, 緩衝機能としての安全在庫水準を決定するための基礎資料となる期末在庫量の分布型について考察するものである.予測方式として単純一次指数平滑法を用い, γ型定期発注方式によって生産数量を計画する本システムにおいて, 顧客からの需要量が正規分布に従うものと仮定するならば, システムの線形性から期末在庫量の分布も正規型となることは明らかである.しかしながら, 需要量が正規分布に従うという保障はない.そこで, 需要量が正規分布からかけ離れた分布(指数分布)に従うと仮定したときの期末在庫量の分布型をラプラス変換を用いた数式解析によって求め, 平滑化定数α, 生産リードタイムL, フィールドバック定数γをパラメータとして数値計算を行ない, 正規分布との差異を明らかにした.