1975 年 26 巻 3 号 p. 244-249
要因がたがいに乗法的であるデータに対数変換を行なって, 加法性データとして取り扱われることが多い.しかし, 時系列データに対するこの種の研究は, あまりなされていないようである.そこで, 本研究では, 季節変動と傾向変動を考慮したHenshaw〔4〕の多重回帰式にあてはめる際の時系列データのべき変換について考察を加えた.変換パラメータ値決定のための評価関数として, 尤度関数と重相関係数を用いた.そして, 加法性データと乗法性データとを用いたシミュレーションにより, 尤度関数による評価のほうが広範囲のデータに関して正しいべき変換値を与えることが示された.また, シミュレーションにおける回帰の残差をDurbin-Watson比により検討し, 最適パラメータ値で変換された場合, 残差には相関がないことを検証した.