抄録
発注方式の代表とされる定期発注方式を比較・評価することは, 両方式の考えだされてきた背景や着眼点が異なるため, いくつかのむずかしい問題が存在する.著者は取り扱う問題の領域を限定するとともに方式比較の前提となる諸経済条件を整理することによって, 結果として必要とされる安全在庫量の水準に評価尺度を絞り, この問題に一つの解決の方向を見いだしている.ここで両方式に同一の安全係数(品切率)を与えれば, それぞれの安全在庫量の水準は, 発注方式・需要条件・予測方法によって影響を受ける, 期末在庫量と最小在庫量の変動の大きさで決定される.得られたおもな結論は, 予測誤差水準が小さい場合には定期発注方式のほうが, その逆の場合には定量発注方式のほうがそれぞれ安全在庫量の水準を低く抑えることができること, さらにその切換点の予測誤差水準の内容は納入リード・タイムと需要の変動係数との関係で表わせることである.