抄録
不確実な状況下の投資計画案は採算性と安全性が同時に満たされているのが望ましい.しかし, 両者の間にはトレード・オフの関係が存在することが多いといわれている.本研究では安全性について, 倒産を意識した「失敗」を定義し, それは「失敗率」として測定が可能であることを示した.つぎに簡単な数値例によって採算性と安全性を同時に満たす諸条件について検討を加え, 安全性を高めるには一定限度の損失を許容する「余裕資金」を保有すればよいことを明らかにした.また, 諸変数の増減が期待利益や失敗率などに与える影響を考慮し, 直感的に採算上好ましい, と考えられる諸変数の増加または減少が必ずしも失敗率を低下させるとは限らないことを明らかにした.