日本経営工学会誌
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生産性傾向式による作業評価法
福田 康明坂井 龍二
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1981 年 32 巻 3 号 p. 188-194

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抄録
従来, 作業の標準時間を設定する方法は, 平均値や標準偏差を主体とした統計的手法が数多く用いられてきた.この手法の適用は, 作業が習熟過程を経て標準状態になった場合を対象としている.しかし, 作業が習熟過程にある場合には, 作業者の習熟を始め, 機械設備, 治工具, 管理技術, 製品不良率など, 作業時間に影響をおよぼす諸要因が改善または改良過程にあるため, 一般に作業方法が不安定となり、作業時間のばらつきは標準状態と比較し手大きくなる傾向にある.作業時間のばらつきは, 習熟が十分でない作業の開始直後ほど大きいが、習熟の増加とともに減少する傾向にある.したがって, 従来の平均値を主体とした解析手法によって, 習熟過程における作業時間のばらつき状態を定量的に把握し、評価することには限界があり, 必然的に動態変化に対応した解析手法が必要となる.このことは作業者の指導もしくは訓練などを, より効果的に実施するうえで重要なことであると考えられる.本論文は, 習熟過程における作業時間のばらつき状態を定量的に把握し, 評価することが可能な解析手法(RS法)を導き, 作業の繰り返し回数と作業時間の関係を動態的に表示できる生産性傾向式を考察した.これを旋盤作業を模型化したS字周回作業(単純作業)の実験に適用し, 従来の分析手法と比較・検討した.
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© 1981 公益社団法人 日本経営工学会
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