日本経営工学会誌
Online ISSN : 2432-9983
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集積利益における情報要因と工業の立地 : 集積利益に関する解析(第3報)
藤本 義治殿木 義三
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1981 年 32 巻 3 号 p. 202-207

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抄録
本稿は, 待ち行列モデルにように店と客との対応を考え, また店にはその待ち客の情報がわかるものとまったく不明なものの2種あって, 客はどちらか一方のサービスを選択する場合を考え, 集積の程度を示す店数の大小, ならびに情報の大小, すなわち客が待ち状態を把握できる店数の大小によって集積利益がいかに挙動するか述べたものである.ボーキングを展開した数理的分析, ならびに選択行動に関する擬似実験を通して, 集積利益の発現に情報要因が大きく関与していることが明らかにされた.さらに客・店の対応を親工企業・下請の対応と読みかえて工業の集積理論を展開し, その結果巨大都市において能力集積という一種の規模集積により下請は有利に経営することができ, 経営の数の集積による利益は一面において規模の集積による利益に収束することが示された.
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© 1981 公益社団法人 日本経営工学会
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