抄録
数理計画法、とくに整数計画法を現実の企業のさまざまな意思決定問題に適用しようとするとき, 現実の問題の本質を把え抽象化するモデルビルディングと, 定式化された数理モデルを解く手法の技術的レベルがバランスよく調和している必要がある.このような認識は, 一般の整数計画問題に対する効率的な汎用コードの開発がほぼ絶望視されるに従いますます鮮明となり, 今日では対象とする個々の問題ごとにその固有の特徴を、モデル化においても解法の開発においても巧みに利用する構造的アプローチの重要性が強く叫ばれている.本論文ではこのような立場から, 特殊鋼の生産計画におけるチャージ編成問題をその内部に輸送問題の構造をもつように定式化し, その構造的特徴を生かした効率的なアルゴリズムを提案している.さらに, 定式化されたモデルの汎用性を述べるとともに, 実際の生産現場でのデータに本アルゴリズムを適用した結果を述べている.