抄録
本研究では, 「参加による管理」制度における作業員の参加量を, 参加の範囲・分野の視点から考察することを目的とする.わが国で典型的な活動を実践する3社の管理者・監督者・リーダー44名を対象に, 調査表を用いた面接調査を実施した.結果は(1)全般に「人」の管理, 「基準設定」の分野では参加が低く, その他の分野では参加が広がっていた.とくに、工程, 工具や機械, 品質, 資材のような「物」の管理, 「改善」の分野では, 参加は高かった.(2)参加項目に着目すると, 一般作業員に最も近いC監督者が, 「上司の許可なしに実施できる業務」に参加は集中していた.「人」の管理は, 「リーダーの決定」のように身近な項目でも, 権限は監督者に留保される傾向にあった.(3)作業自体に必然的に付随する自由裁量の大きい職場では計画的・意図的に委譲される自由裁量も大きく, 「参加の累積現象」が見られた.