抄録
本研究は, 昭和52年およびその約3年後にあたる昭和55年に実施した市場の製品品質に対する向上期待の調査をもとに, そこから構成される評価構造について(1)製品品質に対する市場の評価の観点である評価因子は, 内容的には時間変化にも安定したものである.(2)調査年による期待の上昇傾向が認められ, これは新しい品質機能をもつ製品が市場に出現し, それが市場に普及する過程でその製品の未使用者の対応する評価因子の期待が相対的に増大することに起因する.などのことを実証的な論拠に基づき示した.さらに上述の解析から得られた消費者側の使用製品の企業による品質差より構築される空間に, 消費者行動の一つの結論である市場占有率および品質以外の製品差別化要因などを写像し, これらの関係について考察した.