抄録
人間行動が, 二, 三の欲求に同時に影響を受けて動機づけられることをmultivariate approachという.本研究は, この考え方に基づいて, 5社845名の従業員が, 満足と不満足のそれぞれから三つずつ選択した項目の組合せを分析したものである.その結果, 選択した3つの項目のうち, 少なくとも二つが同じである組合せにおいて, 満足の場合と不満足の場合の組合せ項目の傾向が異質であることが明らかとなった.すなわち, 満足の項目は, 職務に内在する因子と対人関係因子の組合せであること, また, 不満足の項目は, 給与という因子との組合せが多いことが特徴づけられた.