日本腹部救急医学会雑誌
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特集 : 小児腸重積の治療 あなたはどうしていますか?
広島市立舟入病院における小児腸重積症の治療法と治療成績
市川 徹金廣 哲也津村 裕昭日野 裕史
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キーワード: 腸重積, 非観血的整復術
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2007 年 27 巻 5 号 p. 699-703

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抄録
腸重積症は乳幼児の腹部救急疾患のなかで最も頻度の高い疾患である。診療にあたっては, 診断, 非観血的整復と開腹手術の適応と方法, 再発例に対する対策等が課題となる。われわれの施設で経験した症例の治療法, 結果を報告した。診断では病歴, 症状から腸重積の可能性が否定できなければベッドサイド超音波検査, さらに注腸造影検査を行うことが早期診断のために重要と考えている。非観血的整復法はX線透視下10倍希釈水溶性造影剤高圧注腸法を試み, 整復困難なら空気整復法を行っている。1998年4月から2007年3月の間に, 器質的病変を合併しない特発性腸重積症に対し329件の非観血的整復術を行った。この間, 非観血的整復術の非適応と判断した症例はなかった。その結果, 2例が整復できずに, 1例が上行結腸に穿孔をきたし開腹となったが, ほかは整復可能であった。整復操作中の鎮痛剤の投与は整復率向上のために有用と考えている。再発を繰り返す例では, バリウム注腸造影や超音波検査で器質的病変の検索をすることは必要である。
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© 2007 日本腹部救急医学会
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