抄録
本研究では, 物流システムにおいて近年その重要性が非常に高まっているオーダーピッキングの効率化のために, 作業時間を尺度とするシングル, トータルピッキングの評価方法を提案するものである.そのために, オーダーピッキング作業のなかにおける稼動, 検索時間に着目したモデルを構成し, 一方アイテムごとのピッキング頻度を表わすIQ曲線に, 連続量による表示を導入することによって, オーダー件数, オーダー当りのアイテム数などの条件が, 両方式に与える影響の定量的表現を理論的に導出した.さらにこの導出した表現をもとに, オーダー当りのアイテム数が小さくなるほど, IQ曲線がゆるやかなほど, トータルピッキングが有利であること, IQ曲線が急なカーブをもつ場合には, 両方式を併用することによって著しい効率化を図ることができるなど, オーダーピッキングを設計する際の一つの指針を, 示すことができた.