抄録
個別受注生産工場では, ジョブの加工待ち時間や工程の遊休時間をなるべく少なくすることが望ましい。期間山積計画法を採用している工場では, ジョブの待ち時間を少なくするには, 期末受注残を減らすことが一つの方法である。しかし期末受注残を減らしすぎると遊休の発生する確率が高くなる。このような待ち時間と遊休時間との関係をみるためには, 到着仕事量や期末受注残および遊休時間がどのような分布になっているかを知ることができるとよい。本研究では, 1工程1機械からなる工場を想定し, まず1期間に到着するジョブの総仕事量の分布およびそのばらつきの特徴を調べる。次に第n期末の受注残および遊休時間の構造式を明確化し, 期末受注残分布を分析することは, 待ち行列モデルD/G/1の待ち時間分布を分析するのと同じであることを示す。そして第n期末の受注残および遊休時間の分布を求める数値計算法を導入し, 数値による分析例を示す。