日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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一般演題
O-2-B07 当院重症心身障害病棟における経腸栄養剤の使用人数と投与法の変遷
−11年間の検討−
植村 篤実内山 伸一今井 一秀後藤 一也平松 美佐子
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2017 年 42 巻 2 号 p. 204

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抄録
はじめに 重症心身障害児(者)(以下、重症児者)は摂食機能とのかねあいで食事以外から栄養を摂取する必要が生じることが多い。その一つが経腸栄養剤の使用である。 目的 経腸栄養剤の使用割合と摂取方法の変遷を明らかにし、その原因や変化による影響について重症児者医療に特徴的なものについて検討する。 方法 2006年1月から2017年6月まで、当院重症児者病棟に入院していた患者の診療録から後方視的に各患者の栄養摂取方法を拾い上げ、経腸栄養剤摂取者の割合、摂取方法(胃瘻・腸瘻、経鼻胃管、経口)の変遷について調査・検討した。 結果 2006年1月には経腸栄養剤摂取者は入院患者の19.8%であり、その66.7%が経鼻胃管からの摂取であった。2010年には胃瘻・腸瘻からの摂取が経鼻胃管を上回るようになった。2017年6月には経腸栄養摂取者が入院患者126名中61名(48.4%)であり、内訳は胃瘻・腸瘻51名(83.6%)、経鼻胃管10名(16.4%)であった。近年、経鼻胃管を長期使用せずに胃瘻造設術を受けた患者が増加している。経鼻胃管を半年以上使用している場合の理由は、幼児で体格が小さく胃瘻造設の待機中5名、家族が胃瘻造設を希望しない2名、他施設・在宅から入院してきて間もない2名、であった。 考察 経腸栄養剤を使用している重症児者の増加の原因として、超重症児で経口摂取を経験(獲得)することなく生まれてからずっと経腸栄養で生活している患者や、以前は経口摂取が可能であったが加齢により摂食機能が低下した高齢患者が増加したことが挙げられる。 また、胃瘻・腸瘻を有する重症児者の増加の理由としては、重症児者を対象とした外科医療の発展により手術が受けやすくなったことが考えられる。
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© 2017 日本重症心身障害学会
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