日本経営工学会誌
Online ISSN : 2432-9983
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累積的機会原価法による利益配分
門田 安弘
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1989 年 40 巻 4 号 p. 211-217

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抄録
分権的組織において各部門に単独行動や部分結託に参加する自由が一定の制約内で存する場合, 本部は全体結託からの結合利益をどのように配分すれば各部門に全体結託への参加を誘導しうるか.この問題にモリアリティの配分法を適用すると各部門が満足しないことがあるので, 本稿ではこれを修正して「累積的機会原価法」と称する配分法を提案した.この方法は, 現実世界においても多くの実例をもつ仮定, すなわち部分結託の規模拡張の過程が1本の最適経路に従うという合意の下で, 規模拡張に応じて部門の最低要求額(つまり機会原価)を高めていく方法である.本研究では, この配分法がゲームの「φ安定」の条件を満たすことを一般化して証明した.これによって各部門がこの配分を喜んで受入れることがわかる.この方法は, 全社利益に対する利益貢献度のより大きい部門により大きな配分利益を与えるので, 公平な配分であり, 計算が単純だから実用性も高い.
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© 1989 公益社団法人 日本経営工学会
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