1990 年 41 巻 3 号 p. 165-171
実際のスケジューリングでは, ジョブの工場内での滞留時間や納期など, 複数の評価基準を考慮した多目的スケジューリングを行う必要がある.本研究では, 多目的スケジューリング問題の一般的な近似解法として提案されたランダム・サンプリングによる方法を発展させ, 複合ランダム・サンプリングにより近似非劣解集合を効率よく生成する方法を提案した.本報では, Wassenhoveらによって真の非劣解集合を求める方法が提案されている総滞留時間最小化と最大納期遅れ時間最小化の2目的単一機械スケジューリング問題をとりあげてシミュレーション実験を行い, 提案法の有効性を検討した.近似非劣解集合の真の非劣解集合に対する近似の度合を集合近接度と点近接度で評価した結果, 提案法によれば, 少ない計算時間で近似の度合のよい非劣解集合が得られることがわかった.