抄録
本研究では多品種の製品を3段階のフローショップラインで生産するとき, 仕事を始めてから完了するまでの総所要時間を最小化する問題を扱う.各段階には機械が1台あり, 1つの製品(処理対象)は4種類の要素作業からなる.3種類の要素作業については各機械に割付けが決まっているが, 1種類の要素作業については機械の割付けに自由度がある.そのため, 1つのスケジュールは要素作業の割付けと, 各機械での作業順序の2つの要因で決まることになる.本研究では処理時間の長さに条件をつけることで, 作業順序の決定が容易にできることに着目し, 問題の理論的な解析を行い最適スケジュールが得られる十分条件を示した.さらに, ブランチ・アンド・バウンド法に基づいた最適解法を提案し, 数値例を用いて手順を示している.また, 割付けに自由度のある要素作業の割付けが, 1番目と3番目の2つの機械だけに限定される場合についての考察も行う.