抄録
本研究では合併企業に対する評価を扱う.合併企業に対する企業評価方法は定量化された指標により構成されていた.しかし, 信頼性の高い定量化指標が得られたとしても投資・融資の最終的な評価をする際の評価基準は個人に依存することになり普遍性に欠ける.そのため, 本研究では合併を行った企業に対する評価方法として, 評価者にある不確定要因を企業評価に関する「あいまいさ」として捉え, ファジィ確率を導入する.具体的には, 財務情報としての合併効果があったというファジィメッセージを受け取ったもとでの「良い企業」と判定されるファジィ確率を求める.本研究により次のことが確認された.(1)「あいまいさ」を加味したモデルの構築を行えた.(2)「良い企業」と判定される帰属度が得られた.(3)「良い企業」と判定されるファジィ確率が得られた.(4)情報量の定量化が行えた.(5)合併前の財務と企業評価データにより合併後の企業評価の推定が行えた.