抄録
インフラストラクチュアのネットワークが, 社会・経済に与える影響の重要さは広く知られているが, 定量的な分析の例は少ない.本報告では, 物流・電話・郵便という典型的なインフラストラクチュアの, わが国の地域間の結び付きへの影響を, それぞれの都道府県間のODデータに基づき2通りにモデル化し分析する.具体的には, エントロピー空間相互作用モデルに基づいて地域間の結び付きを表し, メトリック多次元尺度構成法と同様の考え方により各地域の座標配置を求めるものである.ここで, 地域間のフローの非対称性の有無を明らかにできるような定式化を行った.モデル-1では地域内フローにより正規化された地域間フローを分析し, モデル-2では地域経済指標を外生変数としてフローを説明する.結果, 両モデルとも, 物流はブロック化, 電話は円環状, 郵便は2重の円環構造というほぼ同様の興味深い結果を与えた.