抄録
現在, 様々な階層型ニューラルネットワークの学習法が発表されている.その一つに, Watanabeらの拡張カルマンフィルタによる誤差逆伝播学習法がある.Watanabeらは, 拡張カルマンフィルタを用いることにより, 従来までは定数として与えられることの多かった学習係数を時変とした.しかし, Watanabeらは結合荷重や閾値を個別に更新しているため, 拡張カルマンフィルタを本然的に利用していない.そこで本研究では, 結合荷重や閾値の更新時に, その推定誤差の分散と共分散を扱うことにより, 結合荷重や閾値間の相関を考慮した本然的な拡張カルマンフィルタによる誤差逆伝播学習を提案する.排他的論理和問題と偶奇性判定問題により, 提案学習法とWatanabeらの学習法との学習能力の比較を行い, 提案学習法の学習能力を検証する.さらに, アヤメの識別問題により両学習法の汎化能力の比較検討を行う.