情報メディア研究
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論文
中井正一「委員会の論理」(1936)における嘘言の媒介について
後藤 嘉宏
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2018 年 16 巻 1 号 p. 41-69

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抄録

和文要約 中井正一の「委員会の論理」(1936)における嘘言の媒介には後藤宏行(1965),ついで針生一郎・松岡正剛(1982)が言及し,両者は嘘言によるコミュニケーションの発展を肯定的に把握した.他方,荒瀬豊(1979)は中井における嘘言の克服を強調した.しかし「委員会の論理」を仔細に読むとテクストは双方を支持し,嘘言が遍在する点を本稿は論じる. 「委員会の論理」は,連載時の『世界文化』編集後記で元原稿を紙幅の関係で圧縮するように依頼した旨記され,中井の既存の諸論考の議論を補わないと理解しがたい. 中井の重要概念,基礎射影及びコプラという言葉は「委員会の論理」でそれぞれ一つの節で僅かしか現れないが,先行あるいは後続する彼の諸論考と重ね合わせると,それらは嘘言の文脈で理解できる.また「委員会の論理」の本題とされる十六節のループ状のモデルにも嘘言は媒介する. 以上のように「委員会の論理」において嘘言が遍在することを本稿は論じ,難解な「委員会の論理」の理解をやや明快にする一助となることを目指す.

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