本研究では,自然科学系分野における分野間引用関係の経年変化を明らかにすることを目的とした.Journal Citation Reports 2001-2009 年 Science Edition で継続収録されている 4,463 誌を 22 分野に分類し,分野間引用数を集計した.分野間引用数は,引用元分野と被引用分野の両方の論文数で規格化した(以下,NC(Normalized Citations)と呼ぶ).NC の変化率に有意な相関があり,且つ,被引用分野へ一定の引用数がある引用元-被引用分野の組を抽出した.NC 変化率が正の値(増加傾向)が 14 組,負の値(減少傾向)が 42 組であった.減少傾向に寄与している分野は,Multidisciplinary,Molecular Biology & Genetics など,生命科学分野が多くみられたが、対象とした 4,463 誌以外への引用が増え,引用する雑誌に広がりがあることが分かった.規格化によって、分野による規模(論文数) の影響が排除されていることを確認した.