抄録
全国の多くの自治体において,公共施設の老朽化や更新・修繕費に係わる予算不足を背景として,公共施設の総合管理計画の策定が進められている.公共施設の統廃合やそれに伴う施設削減を実施する上では,地域住民からの賛同を得られるか否かが重要な課題となる.この認識の下,本研究では,公共施設統廃合による施設削減に対する地域住民の受容意向を把握すると共に,社会心理学等の知見を踏まえて,その規定要因を実証的に検討することを目的とした.その結果,公共施設の削減に対してどのような条件でも受け入れられないと回答した人において,公共施設の統廃合に関わる論点認知が高く,行政を信頼すると共に,地域愛着や帰属意識が高い傾向が見られた.本結果を踏まえて,公共施設の統廃合に関わる合意形成を進める上での方策や課題について考察した.