2020 年 19 巻 1 号 p. 19-28
本研究では、全国のコミュニティ放送局(238 局)を対象に、通常時と災害時のソーシャルメディアの利用状況や災害時の音声情報弱者(在日・在留外国人、難聴を含む聴覚障がい者)への情報提供方法の工夫に関するアンケートを実施した。災害時の情報発信において重要な役割を果たすとされるコミュニティ放送局の多くが、Facebook などのソーシャルメディアで文字や画像による情報提供を行っている。その現状を鑑み、それらのソーシャルメディアが、災害時に情報弱者となりやすい在日外国人と聴覚障がい者に有効な情報発信源として利用できる可能性を探るため、調査を行った。169 局の有効回答中、通常時には 146 局、災害時には 107 局がソーシャルメディアで情報発信をすることが分かった。ただし、災害時にソーシャルメディアを利用するとしている局であっても、それが在日・在留外国人や聴覚障がい者を対象にした情報提供の工夫であると認識している局は少ないことも明らかになった。