抄録
相模女子大学附属図書館に貴重書として保存されている『賦何舩連歌』は,『國書総目録』『古典籍総合目録』及び『連歌総目録』においても未載である.国文学研究資料館の連歌·演能·雅楽データベースにも当該作品はみあたらない.したがって『賦何舩連歌』は,公には他に伝本が知られておらず,個人が所蔵していることはありうるが,現存する唯一の作品である可能性が高い.今後,他に原本が発見されたとしても,巻子本に仕立てた「原懐紙」として貴重なものであることは確かである.また,「もの」としての希少価値の他に,近世初期の相良氏の文事をうかがいしることができるという点で,「賦何舩連歌」は貴重な資料と評価できる.