抄録
本論では、多文化社会専門職機構の相談通訳認定者による3 つの事例報告をもとに、相談通訳の役割や専門性などの観点から、再考すべき課題を整理し検討することを目的にした。その結果、相談通訳の専門的で制度化された継続的な研修機会を作り出す必要性、相談通訳者自身が雇用されている場合においての中立性の課題、相談通訳を活用する人達に対するユーザー教育の機会不足の課題の3点を指摘した。また、相談通訳は司法・行政・教育・医療の領域において、言語間の橋渡し役を務める専門職と定義されているが、近年、外国人労働者の職場の問題が顕在化していることから、「職場」の領域を加える必要性も指摘した。移民の受け入れ政策をとっている諸外国とは、歴史的にも、政治的にも異
なる日本において、相談通訳にどのような専門性が必要なのか、どのように相談通訳を育成していくのかを引き続き議論していく必要がある。