2016 年 37 巻 5 号 p. 208-216
酸化亜鉛((平均粒子径:70 nm)を分散した透明シルセスキオキサン(SQ)型エポキシ樹脂コーティングの紫外線遮蔽効果が研究された。紫外線照射に伴うコーティング表面の化学組成の変化は,FT-IR(ATR),紫外/可視分光光度計,およびXPS を用いて追跡された。その結果,紫外線照射に伴ってSQ 型エポキシ樹脂コーティングの表面層の有機成分が急速に分解・除去され,表面層が石英ガラス類似の化学組成に変化することが示された。紫外線遮蔽材として酸化亜鉛ナノ粒子を添加したコーティングでは,この化学組成の変化は表面から0.2 μm の深さまでに限られており,長時間の紫外線照射でも0.4 μm より深い領域はUV 照射の影響をほとんど受 けなかった。さらに,この酸化亜鉛分散SQ 型エポキシ樹脂コーティング膜を通して紫外線をPET フィルムに照射しても,PET フィルムの表面は紫外線照射の影響をほとんど受けなかった。これは,酸化亜鉛ナノ粒子を分散したSQ 型エポキシ樹脂コーティングが,透明の紫外線遮蔽コーティング膜として優れた性能を持つことを示すものと考えられる。