抄録
1. HCI 溶液に於てSnを定量する種々の滴定法を研究し良き結果與へる諸條件を求めSn定量に於て正確果を容易に得られる様にした.
2. 種々の還元劑にて還元後種々の標準溶液にて滴定して得たる結果を表に一括する.表に示さるゝ如くSb還元後沃素滴定法に依る方法が最も正確にして簡便であるが還元に用ふるSbは細粉(200月篩以下)になし2g以上を使用してHCl 1.45~3.0Nの範圍にて實驗すべきである.次にNi還元後沃素滴定法が優れAl還元後沃素滴法も割合に一定値が得られる.沃素滴遣法に次いで重クロム酸滴定法は酸の廣い濃度範園にて一定の誼を興へるが少し低値を與へるためSn量既知のものにて標定を行はねばならぬ.過剩の第二鐵を加へてKMnO4溶液にて滴定する方法及び第ニセリム滴定法ねも同様である. KIO3溶液及びクロラミン溶液よる滴定は正確なる結果を與へるが酸の濃度範圍は狹い.